今回はカメラを使って写真を撮る上で
必ず触れるであろう「焦点距離」と
「35mm判換算焦点距離」について
解説をしていきます。
焦点距離とは何か?
そもそも写真における焦点距離とは、
写真を撮るときの画角のことです。
標準とされるのは50mm、
それよりも値の小さいものは広角、
値の大きいものは望遠と呼ばれます。
光学的には厳密にはレンズから
撮像素子(センサー)までの距離なのですが、
写真用レンズにおいては
画角で考える方が扱いが便利なので
今回は
「写真の画角を変える数値」
という認識になります。
センサーサイズとイメージサークルと焦点距離
焦点距離について考えるために、
まずはセンサーサイズと
イメージサークルについて知っておきましょう。
まずはセンサーサイズについてです。
デジタルカメラにはイメージセンサー
というものが載っており、
この大きさがセンサーサイズになります。
一般にフルサイズと呼ばれる
カメラのセンサーは36mm×24mmの大きさです。
これはフィルムカメラのフィルムの大きさと
同じであることからフルサイズと呼ばれており、
実はフルサイズよりも大きな「中判」と
呼ばれるセンサーも存在しています。
これに対してマイクロフォーサーズは
17.3mm×13.0mm、
APS-Cは23.5mm×15.6mm前後と
フルサイズに比べて小さめの
センサーサイズになっています。
またイメージサークルに
ついても見ていきましょう。
イメージサークルとはレンズが
作る円形の像の直径のことで、
フルサイズ用レンズではおよそ43.2mmとなります。
この数値はセンサーの対角線の
長さに等しいことから、
三平方の定理を用いてセンサーサイズから
求めることができます。
計算してみると、
APS-Cに対応するのはおよそ28.4mm、
マイクロフォーサーズに対応するのはおよそ21.6mmとなります。
このセンサーサイズの対角線の
長さに合わせてレンズも設計されているというわけです。
ここまでの話を図で表すとこのようになっています。
それぞれのセンサーサイズに接している
円がイメージサークルの大きさになっています。
例えばCanonのEF-Sレンズがフルサイズの
ボディで使用することができないのは、
それらのレンズがAPS-Cまでのイメージサークルしか
持っていないからということになります。
例えばこれらのレンズはフルサイズで
撮影しようとすると周囲が黒くなってしまいます。
(このような現象を「ケラレ」と言います)
ちなみにNikonのDXレンズは
フルサイズボディで使用が可能ですが、
その際はセンサーが自動でAPS-Cのサイズに
クロップされることでケラれることを防いでいます。
図で表すと以下のようになります。
まずはAPS-Cセンサーのボディに
フルサイズのレンズを装着した場合です。
ここではイメージサークルの大きさを薄い灰色、
センサーの大きさを濃い灰色で示しています。
このようにイメージサークルの中に
センサーはすっぽりと収まっています。
この場合なら問題なく使用できます。
続いてフルサイズセンサーのボディに
APS-Cのレンズを装着した場合はどうでしょう。
これを見ると濃い灰色で示されたセンサーは
薄い灰色で示されたイメージサークルから
左右がはみ出してしまっています。
このとき濃い灰色の部分には
レンズからの光が届かず、
真っ黒になった写真になってしまうのです。
ではなぜセンサーサイズや
イメージサークルが焦点距離と
関わってくるのでしょうか。
先ほどの図をもう一度見てみます。
これを見てみると、
フルサイズの赤い枠で撮影しているときに
比べて画角が狭くなっているのが
お分かりいただけるでしょうか?
つまり、同じ焦点距離のレンズを使用しているのにも
かかわらず画角が異なるということに
なってしまっています。
これを解消するのが「35mm判換算焦点距離」という概念なのです。
前置きが長くなりましたが、ここからが本日の本題です。
「35mm判換算焦点距離」について知る
35mm判換算焦点距離とは、
一言でいえば
「フルサイズ以外のセンサーで撮影した写真を
もしフルサイズのセンサーで撮影しようとすると、
何mmのレンズを使えばいいのか」
ということになります。
この計算で登場するのが先ほどの
イメージサークルの大きさなのです。
例えばAPS-Cのイメージサークルの直径は28.4mm、
フルサイズのイメージサークルの直径は43.2mmでした。
この二つの円の大きさの比はおよそ1.5倍となります。
したがって撮影される大きさも
フルサイズよりAPS-Cのほうが
1.5倍大きくなるということです。
例えばフルサイズセンサーのボディに
50mmのレンズをつけて撮影した画像があるとしましょう。
このとき赤い円がフルサイズセンサーの
イメージサークル、赤い四角形は
フルサイズセンサーの撮影範囲です。
同様に青い円と四角形はAPS-Cセンサーの
イメージサークルと撮影範囲に対応しています。
(本来であれば赤い四角形の外側を写すことはできませんが、
今回は説明のために便宜上写しています)
フルサイズセンサーで
撮影した画像はこのようになります。
この焦点距離はもちろん50mmです。
それに対してAPS-Cセンサーで
撮影した画像はこのようになります。
明らかに画角が狭くなっているのが
お分かりいただけるでしょうか。
このときにイメージサークルの直径の比から考えると、
APS-Cで撮影した画像はフルサイズで撮影した画像に
比べておよそ1.5倍焦点距離が
長くなっていると考えることができます。
すなわち、このときの「35mm判換算焦点距離」は
50mmの約1.5倍でおよそ75mmとなります。
一般化すると、
APS-Cセンサーの場合はレンズの表記に1.5倍、
マイクロフォーサーズセンサーの場合はレンズの表記に2倍をすると
35mm判換算焦点距離を求めることができます。
(ただしCanonのカメラに
搭載されているAPS-Cサイズセンサーは
他社に比べてわずかに小さいため、
レンズ表記の1.6倍が35mm判換算焦点距離となります。)
それぞれのカメラの特性を理解しよう
一般的にフルサイズはAPS-Cや
マイクロフォーサーズセンサーに
比べて優れていると言われています。
確かに画質面などを見れば
フルサイズセンサーが
一歩抜きんでていることは確かです。
しかしAPS-Cやマイクロフォーサーズにも
メリットがあります。
それが望遠域での強さです。
CanonのAPS-Cセンサーボディに
300mmのレンズで撮影(=換算480mm)
作例は300mmのレンズを使用していますが、
APS-Cセンサーのボディで
撮影しているためよりアップで
被写体を捉えることができています。
他にもボディとレンズ全体の小型化が
可能な点などのメリットもあります。
実際に撮影する際には広角から
望遠まで様々な焦点距離を
使用する機会があると思います。
それぞれのボディやレンズの特性を
理解して使いこなすことで、
よりよい写真を撮ることができるでしょう。
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