[ 新旧撮り比べ対決!] 67用90mmF2.8比較レビュー記事

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今回はPENTAX 67マウント用の90mm F2.8の新旧比較となります。

今回比較したレンズはこちら。

・Super-Multi-Corted Takumar 6×7 90mm F2.8 LS(1971年発売)

・smc PENTAX 67 90mm F2.8(1989年発売)

 

 

前者はおもに初期のPENTAX 6×7向けに、

後者はおもに後期のPENTAX 67向けに設計されたレンズです。

 

ペンタックス67マウント用の90mmF2.8は3種類がありますが、

今回は初代のモデルと最後期のモデルを比べてみます。

(ちなみに中期のモデルとなるsmc PENTAX 6×7 90mm F2.8は光学的には後期のモデルと同一です。)

 

・カタログスペック比較

まずはカタログの数値などから両レンズを見ていきます。

 

レンズ名 レンズ構成 最短撮影距離 重量 その他
SMC Takumar 6×7 90mm F2.8 LS 5群6枚 0.85m 610g レンズシャッター搭載
smc PENTAX 67 90mm F2.8 5群7枚 0.65m 485g

 

同一点としては、35mm判換算焦点距離(約46mm)、最小絞り値(F22)、フィルター径(67mm)となっています。

 

まず初代の一番の特徴は、レンズシャッターを内蔵していることでしょう。

これによりストロボを使用する際に高速シンクロを実現しています。

またスローシャッターでの撮影の際、ミラーアップの搭載されていない6×7の特に初期型ではミラーショックを抑えることも可能です。

一方で後期モデルはレンズシャッターが廃止され、代わりに光学系の性能が向上しています。またレンズ全体の小型軽量化にも寄与しています。

また二つのレンズを並べると、後期のほうが一回り全長が短くなっています。これにより67系の問題の一つである携帯性が向上しています。

 

・外観比較

次に外観を見ていきます。今回装着したボディはPENTAX 6×7の初期型・アイレベル・ミラーアップなしです。シリアルナンバーは404万番台で発売はおよそ1970年ごろになります。

SMC Takumar 6×7 90mm F2.8 LS

smc PENTAX 67 90mm F2.8

全体的な質感はやはり年代の合う初代のほうに軍配が上がります。

しかし後期も全長が短い分スッキリした印象があり悪くないですね。

後期の67や67IIにボディを変えるとまた印象も違ってくると思います。

 

 

・実写比較

ここからは実際に二本のレンズを撮り比べてみます。

今回検証に使用したのは、FUJIFILM X-H1です。

APS-C機なので焦点距離はおよそ135mmになります。

また画素ピッチが狭い分、同スペックのフルサイズカメラよりもレンズの性能を厳しく見ることができます。

マウントアダプターはKiponのPENTAX 67-NikonとK&F conseptのNikon-FXを重ねて使用しました。

NikonFマウントを介することで67用レンズがミラーレスで使用可能になります。

67マウントはフランジバックが長い分、Fマウントボディを始めとする多くの一眼レフにもマウントアダプターを介して使用することができるのが嬉しいですね。

今回はこのような被写体でテストしました。

中央の缶上部のロゴに拡大表示の上ピントを合わせています。

ミラーレスで使用する際はファインダー内で簡単に拡大しながらのMFができるので撮影がしやすいですね。

両レンズともF2.8、F4.0、F5.6、F8.0それぞれで撮影し、等倍表示で並べたものが以下になります。

画面左がsmc PENTAX(後期モデル)、画面右がSMC Takumar(初期モデル)です。

 

F2.8

 

F4.0

F5.6

F8.0

 

いかがでしょうか。

両レンズとも古いレンズとしてはかなり画質のいい印象を持ちました。

F4.0以降ではどちらのレンズも性能をフルに出せており、
その違いは等倍で見ても分からないほどです。

 

一方で開放のF2.8のみわずかに後期モデルのほうが滲みが少ない印象を受けます。

特に逆光時ではこの差が大きく出てくると思います。

とはいえ前期モデルの柔らかい描写を活かした作品づくりは後期モデルではかないません。

また、2枚の画像を並べたときに後期モデルのほうが色ノリがいい印象を受けました。

同じSuper Multi Cortedを用いていますが時代によって進化したのでしょうか。

より現代的な写りになった感じがします。

 

・総評

ここまで様々な観点から両レンズを比較してきましたが、結局どちらを選ぶのがよいのでしょうか。

 

初代モデルを選んだほうがいい人

・前期のPENTAX 6×7(特にミラーアップなしモデル)を使っている方

・開放であまり撮影しない方

・オールドレンズらしい描写を求めている方

・とにかく安く抑えたい方

 

後期モデルを選んだほうがいい人

・後期のPENTAX 67や67IIを使っている方

・小型軽量を優先したい方

・開放からの描写力を求めている方

・近接での撮影機会の多い方

 

実際両レンズを使った個人の感想ですが、どちらも魅力的だ、というのが結論でした。

初代モデルの金属製フォーカスリングの質感やレンズシャッターは捨てがたいですし、

何しろ後期モデルに比べてお買い得に手に入れることができるのも魅力です。

一方で後期モデルは成熟した描写力と中判用レンズとは思えないコンパクトさが魅力で、

最短撮影距離の差20cmも使用してみると思った以上に大きなアドバンテージとなりました。

 

自分の撮影スタイルに合ったレンズで、より充実したカメラライフを送ってみませんか。

(著者:フォレストカメラ スタッフ中澤 )

 

 

参考文献

Antique & Classic Cameras

Wikipedia

 

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